東大教員PCが標的型攻撃でマルウェア感染ー対策ソフトは検知せず

東京大学の教員が使用していたパソコンが標的型攻撃の被害に遭い、マルウェアに感染していたことがわかった。内部に保存されていた個人情報が外部に流出した可能性があるという。

同大によれば、教員1人が在宅勤務で使用する同大保有端末1台がマルウェアに感染したもの。同様の標的型攻撃について調査を行っていた専門機関より1月18日に指摘があり、調査を行ったところ判明した。

2022年7月19日に受信した標的型攻撃メールを通じてマルウェアに感染。2022年11月に内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)や警視庁などが公表した学術関係者やシンクタンク研究員などを狙った標的型攻撃と類似した手口を用いていた。

問題の端末にはセキュリティ対策ソフトが導入されていたが、外部より指摘を受けて問題が発覚するまで検知されなかったという。端末内には情報を窃取された形跡があり、5月23日には内部データが外部に流出した可能性があることが判明した。

対象となるのは、教職員や学生、卒業生の個人情報2409件のほか、教員が在籍する学会会員や学校主催イベント参加者の情報1082件、教員が他大学で担当する授業の受講生の情報796件など。対象項目は対象となる情報によって異なるが、氏名、住所、電話番号、生年月日、性別、メールアドレス、学歴や職歴などが含まれる。

研究に関する情報や知的財産など、個人情報以外の情報については流出を否定。また他端末やサーバ、ネットワーク機器などに対して感染を拡大したり、不正侵入するといった試みなども確認されていないという。

同大では、対象となる学生や関係者に説明と謝罪を進めているが、二次被害の報告などは寄せられていない。今回の問題を受け、学内関係者に対する指導をさらに強化し、再発防止を図るとしている。